「かあずさあっ♪」
振り返ったらそこには先輩の太一くんがいた。
「お、どしうたの?授業は?」
ここは理科室。
自分らが次の授業のために待機中なので、一応問うて置く。
太一くんは表情一つ変えず、笑顔のまま言う。
「俺、これから神奈川で試合なんだぁ~。……あ、でももう始まっちゃってるや。」
「……ええ!?」
「まっ、いいかぁ~~」
太一くんが腕時計の時刻をチェックしつつ、難なく言ってのける。
私が逆に焦ってしまう。
だって、試合って……
しかも太一くん、キャプテンじゃん……!!
「いや、よくないでしょ!?あわわッ、副キャプテンの亮平さんに連絡しなきゃ……っ」
「和紗? 急がないとなくなっちゃうよ?」
私が携帯をいじりながらアタフタしている時に、横から落ち着いた声でそう声をかけられる。
いや、私今それどころじゃないの!
……って、ん?
「なくなるって、何が?」
もちろん会話になってない会話を成立させようと問い返す。
でも太一くんは笑顔のままで答えようとしない。
変な太一く……ん、じゃなくて!
亮平さんに連絡、連絡!
「もぉ、かぁずぅさあっ。俺、知らないよ~?なくなってもぉ。」
また携帯に集中して亮平さんの番号まで行き着いたところで、さらに声をかけられる。
私は意味がわからない太一くんに半ばイラだちを覚えて、そっちに顔を向けつつ言う。
「だから太一くん!なにが?!」
「……あ、起きた。」
見るとそこには『タイチ』違いの大知がいた。
……あれ?
「……太一くんは?」
あたりをキョロキョロしながら問う。